<U12>

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「幽霊じゃないぞ。 脚だって付いているだろ? 話せば長いが、 小さな島にうち上げられて、 そこの住民に手当して もらっていたんだ。 現代医療なんて なかったから、 体を起こせるように なるまでに 二年ちょっとかかった。 歩けるようになるまで またそのくらい。 それからやっと 電気が通じる島に 連れて行ってもらって びっくりした。 メールが多すぎて 受信できないと 言われたよ」 そう言って 胸ポケットから出して 見せてくれたのは、 あの白い携帯だった。 大事にしろと言った 和代の言う通りに 彼はしていたのだった。 唖然としたままの顔の 和代は言った。
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