<U12>

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「だ、だって、 メールは消すなって」 「送り過ぎだ!」 と言いつつも陽一朗は 真顔になって言った。 「向こうの 営業所に顔を出して 初めは お化け扱いだったが、 顔見知りがいたんで 何とかなった。 そこで状況を聞いたよ。 会社もお前も 大変だったな。 すまない。 傍にいてやれなくて」 「う、ううん、大丈夫」 強張った笑顔を 何とか見せる、 そんな和代の頬に 涙がこぼれた。 その表情の ぎこちなさを見て、 妻の変わらなさに こみ上げて来るものを 感じつつも、 それを知られまいとして 陽一朗は占い所に目をやった。
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