第1章

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和代よりも 三つ年上の洋子は こんな工場勤務でも 化粧ばっちりで、 逆に化粧っ気のない 和代とは異なって、 上司の受けもいい。 だるそうにやって来た 和代をきつく抱きしめた。 「和代、いつもの顔だね。 笑顔忘れてるよ」 それを受けて和代は 心の中で答えた。 “笑顔、ただいま故障中” もっと表情を出しなさい、が 洋子の言い分なのだが、 それを面倒と感じる和代は 苦笑いで頷いて見せた。 洋子は愛想のない自分に 話しかけてくれる 貴重な存在でもあったし、 何かと気にかけてくれる 彼女の事が、嫌いではない。
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