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ママはリビングで星桜と向き合った。そしてもう動かないこと、それは死んでしまったということを話した。
「嘘だよ……そんなの……。だって私、お願いしたもん……」
ママが嘘を言うわけない。そんなことは分かってる。
「お星様に病気治してって……元気にしてって……お願いしたもん……」
パパが教えてくれたんだ。願いを……叶えてくれるって。
「お星様は神様だよ?パパが……死ぬはずないもん……」
「パパは死んだの。星桜……パパは……もう……」
パパだって嘘を言うわけない。
「何で?私……いい子にしてたよ?なのに何で!」
星桜は近くにあったクッションを投げた。
「お星様が……お星様がパパを裏切ったんだ!」
「星桜!そうじゃないの……そういうことじゃ……ないの」
星桜はパパのことがすごく大好きだった。もちろんママも大好きだ。
そしてお星様は神様だと信じていた。大好きだったパパがそう教えてくれたから。
でもお星様はパパを助けてくれなかった。
ずっといい子にしていたのに。少しは逆らったかもしれないけど、ママの言うこともちゃんと聞いた。
パパと離れるのもすごく辛かったけど泣かなかった。
星桜が泣くとパパも泣く。星桜が笑えばパパも笑う。だからずっと笑顔でいたのに。
それなのに……お星様は裏切ったんだ。
「お星様なんて……お星様なんて大っ嫌い!!」
この日を境に、星桜は夜空を見上げなくなった。
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