第3章   夢と写真 2つ目の宝石

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   8 「手紙のことを考えすぎて夢に出てきただけなんじゃないの?」 夢だなんて……ママはすぐに信じることは出来なかった。 「あの手紙、本当はパパが書いたんでしょ?それにこの手紙の意味も……多分」 【その日の終わり、暗闇の中、示す先へ】 夜、目をつぶった時、行くべき場所が分かる 「確かに見たの……。ママには分からないけど、私には分かること。それは私が見た……夢」 可能性は0じゃない。「星桜なら手紙の意味が分かる」、あの人……パパがそう言っていたから。 でも星桜の夢に出てきたのは本当にパパなの?ママは半信半疑だった。 「どんな夢……だったの?」 「それが……あまり覚えてなくて。……でも長い夢だったの。この宝石は鍵。この鍵の在り処を示す夢。そして最後にパパが何か言ってたんだけど……思い出せない」 人が夢をすべて覚えている……なんて不可能に近いものだ。 夢物語を長々と話す人もいるが、本当に見た夢すべてなのかなんて分からない。 夢なんて忘れてしまうのが当たり前なのだから。 だけどこの夢は思い出さなければいけない。 星桜にはなんとなくだけど分かっていた。この先にあるものが……パパが本当に伝えたかったことだと。
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