第3章   夢と写真 2つ目の宝石

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おばあちゃんの家は星桜の家から西の方。商店街から更に離れたところだ。 そこへは少し距離があるので、ママの運転する車で行くことにする。 「星桜はおばあちゃんのお家に行くの久しぶりね」 星桜がおばあちゃんと会うのは、パパのお葬式以来だ。 泣いている星桜を見ておばあちゃんが手を差し伸べたが、それを振り払って逃げ出した。 ママはちょくちょく顔を出しに行っていたが、気まずくなった星桜が会うことはなかった。 「おばあちゃん、星桜に会いたがっていたわよ?」 星桜はまだ昔のことを気にしている様子だった。 おばあちゃんの温かい優しい手、その手を振り払ったんだ。当時7歳だった星桜にもそれは悪いことだと分かっていた。 悪いことをしてしまったら素直に謝る。だけどそれは時間が経てば経つほど難しいことへと変化してしまう。 『ごめんなさい』、ただその一言がだ。 でも星桜は分かっている。今日、ちゃんと謝ろう。これは大事なことだから。
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