19人が本棚に入れています
本棚に追加
久しぶりのおばあちゃんの家が見えてきた。古びた平屋の家だ。
広い庭で遊んでいたのを覚えている。
おばあちゃんの家の駐車場に車を停め、2人は玄関へと向かう。
そしてママがインターホンを鳴らすと、おばあちゃんの返事をする声が聞こえた。
程なくして、ガラガラと横開きのドアが開く。
「おやぁ、いらっしゃい」
「おばあちゃんこんにちは。今日は星桜も来ましたよ」
7歳から18歳になった星桜を見て、おばあちゃんはどう思うのだろう。
星桜は久しぶりすぎて、おばあちゃんに対して他人行儀な感じがしてならなかった。
ママに言われ、斜め後ろにいた星桜が1歩前に出る。
「こ、こんにちは。おばあちゃん」
星桜のその挨拶は、おばあちゃんの足元に向かって言われた。
目が合うのが照れくさいっていうのもあるが、過去にやってしまったことで怖いという感情が少しばかりあった。
もちろん、そう思っているのは星桜だけだ。
「大きくなったねぇ星桜ちゃん。相変わらず美人さんだぁ」
ゆっくりとした喋り方。落ち着く声。照れることを平気で言ってくるのも昔と変わらない。
そして星桜の手を握ってくるおばあちゃんの手は、やっぱり温かかった。
最初のコメントを投稿しよう!