第3章   夢と写真 2つ目の宝石

6/23
前へ
/114ページ
次へ
久しぶりのおばあちゃんの家が見えてきた。古びた平屋の家だ。 広い庭で遊んでいたのを覚えている。 おばあちゃんの家の駐車場に車を停め、2人は玄関へと向かう。 そしてママがインターホンを鳴らすと、おばあちゃんの返事をする声が聞こえた。 程なくして、ガラガラと横開きのドアが開く。 「おやぁ、いらっしゃい」 「おばあちゃんこんにちは。今日は星桜も来ましたよ」 7歳から18歳になった星桜を見て、おばあちゃんはどう思うのだろう。 星桜は久しぶりすぎて、おばあちゃんに対して他人行儀な感じがしてならなかった。 ママに言われ、斜め後ろにいた星桜が1歩前に出る。 「こ、こんにちは。おばあちゃん」 星桜のその挨拶は、おばあちゃんの足元に向かって言われた。 目が合うのが照れくさいっていうのもあるが、過去にやってしまったことで怖いという感情が少しばかりあった。 もちろん、そう思っているのは星桜だけだ。 「大きくなったねぇ星桜ちゃん。相変わらず美人さんだぁ」 ゆっくりとした喋り方。落ち着く声。照れることを平気で言ってくるのも昔と変わらない。 そして星桜の手を握ってくるおばあちゃんの手は、やっぱり温かかった。
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加