第3章   夢と写真 2つ目の宝石

9/23
前へ
/114ページ
次へ
パパの部屋は玄関から入って1番奥にある。廊下の突き当りを左に曲がったところだ。 ママは久しぶりだが、星桜は初めて入る。 「し、失礼しまーす」 星桜がそっとドアを開け、部屋の中を見たママが驚いた。 「もしかして、あの日のままですか?」 「もちろんさぁ。何か動かすのも気が進まなくてねぇ」 どうやらパパが入院してから、誰も部屋のものを動かしていないらしかった。 「何か……意外」 星桜がムスッとするのも当たり前だった。 家ではだらしないパパなのに、この部屋は綺麗に整頓されていたからだ。 「星桜ちゃんの家では、パパはママに甘えてたでしょぉ。パパもまだまだ子供だったからねぇ」 パパなのに子供。星桜にはそれがおかしかった。 星桜はパパの部屋を見渡した。そして、あるものに目が止まる。 それはテーブルの上に置かれていた写真立てだった。 3人が笑顔でピースしている写真。星桜を真ん中に、左にママ、右にパパだ。 「その写真はねぇ、パパが1番大事にしていた写真だよぉ」 星桜の3歳の七五三の時に撮った写真だ。
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加