第3章   夢と写真 2つ目の宝石

12/23
前へ
/114ページ
次へ
11年前、おばあちゃんはお星様にお願いをした。 パパと一緒にいる時間が短くなって、星桜が寂しがっているのを知っていたから。 もちろんそれだけじゃない。ママと会った時、おばあちゃんはひと目でそれに気づいた。 ママとおばあちゃんは他人だ。だけどおばあちゃんは自分の娘のように接してきた。 自分の息子……パパが愛した人だから。 子供は親に甘えていい。だけどママは1人で寂しさを我慢していた。 ママは子供であり、星桜の親だから。 そんなに辛いのは可哀想だ。だから……おばあちゃんはお願いしたんだ。 星桜とママとパパが一緒にいられるようにって。 でも……出なかった。辛いのに……悲しいのに。それを……体は許してくれなかった。 「歳のせい……なのかねぇ。自然と溢れ出ることは……なかったねぇ」 お星様は『涙』に答えてくれる。自然と流れるその涙に、嘘はないからだ。 「もし、それを知っていたら、幸翔さんは……死なずにすんだんですか?」 パパを助けることが出来たのに……なんで。 「知っていたとしても……多分無理だったろうねぇ」 「何でですか?!……知っていたら……幸翔さんは」 星桜は何も言えなかった。ただただママとおばあちゃんを見ていた。 辛そうなママを……悲しみの涙を流すママを……初めて見たから。
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加