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11年前、おばあちゃんはお星様にお願いをした。
パパと一緒にいる時間が短くなって、星桜が寂しがっているのを知っていたから。
もちろんそれだけじゃない。ママと会った時、おばあちゃんはひと目でそれに気づいた。
ママとおばあちゃんは他人だ。だけどおばあちゃんは自分の娘のように接してきた。
自分の息子……パパが愛した人だから。
子供は親に甘えていい。だけどママは1人で寂しさを我慢していた。
ママは子供であり、星桜の親だから。
そんなに辛いのは可哀想だ。だから……おばあちゃんはお願いしたんだ。
星桜とママとパパが一緒にいられるようにって。
でも……出なかった。辛いのに……悲しいのに。それを……体は許してくれなかった。
「歳のせい……なのかねぇ。自然と溢れ出ることは……なかったねぇ」
お星様は『涙』に答えてくれる。自然と流れるその涙に、嘘はないからだ。
「もし、それを知っていたら、幸翔さんは……死なずにすんだんですか?」
パパを助けることが出来たのに……なんで。
「知っていたとしても……多分無理だったろうねぇ」
「何でですか?!……知っていたら……幸翔さんは」
星桜は何も言えなかった。ただただママとおばあちゃんを見ていた。
辛そうなママを……悲しみの涙を流すママを……初めて見たから。
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