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「幸翔さん……幸翔さん……」
ママは膝をつき、パパの名前を呼んだ。
何でもいい。助かる可能性があるのなら。パパのためにしてあげたかった。
(パパは癌だった……。だから……)
星桜は声に出すことが出来なかった。
おばあちゃんはママの側に行き、ハンカチを手渡す。そしてママの肩に手をおき、落ち着くのを待っていた。
「知っていても……本当に無理だったんですか?」
ママも辛かった。涙だって溢れるほど出せた。
パパの病気が治るのなら、毎晩涙を流し、お星様にお願いしたはずだ。
「星桜ちゃんもこっちにおいでぇ」
おばあちゃんは星桜を呼び、側に座らせた。
「パパが入院していた時、星桜ちゃんは何を考えていたか、思い出せるかい?」
星桜はパパが入院する、といきなり知らされた。応援すると決めた。
会えない時間が多くて寂しかった。だけどパパが頑張っているのは分かっていたから、星桜は我慢した。
そしてだんだんと考えが変わっていった。
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