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とても清々しい。星桜はまた大きく、花の香りを吸った。そして、ママとおばあちゃんに言う。
「探しものはもう終わり。戻ろう、パパの部屋に」
星桜の表情を見て、ママはすぐに気づいた。良いことがあるとそういう顔をする。
パパも星桜のそういう笑顔が好きだった。
3人はパパの部屋に戻る。
戻る途中でおばあちゃんにいろいろ聞かれたが、部屋でちゃんと説明する、と納得させた。
パパの部屋に入ると、星桜は本棚の前に立つ。
1番上の棚に座るように飾られている『くまのぬいぐるみ』だ。
ただのぬいぐるみだと思っていたが、手に取り調べてみると明らかに不自然だった。
お腹の横の縫い方が荒い。
「パパが教えてくれたの。おばあちゃんの手作りの、このぬいぐるみは宝物だって。正夢……っていうのかな? 変な感じ」
ママもおばあちゃんも、もう信じずにはいられなかった。
星桜がこのくまのぬいぐるみのことを、知っているはずがなかったからだ。
パパが星桜の夢に出てきたのは本当だった。
そこまでして星桜に伝えたいこととは何なのか。
それと同時にママは、自分の夢にはなぜ出てこないのかという寂しさがあった。
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