第4章   星と謎 古びた館

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  11 『なんでよ……』 星桜が起きてすぐ、思ったことだ。 台所ではママが朝ごはんの支度をしていた。言うまでもない、いつものこと。 今日は月曜日、ママには仕事がある。 鼻歌交じりのママはとてもごきげんだった。 星桜の夢に出てくるパパは今度は何を伝えるのか、直接ではないけれど聞けることが楽しみでいた。 2階から聞こえるバタバタという音で、星桜が起きたことに気づく。 ゆっくりと階段を降りてくる音で、昨晩は熟睡出来たんじゃないかと分かる。 そして、眠たそうな星桜の声。 「ママ、おはよー」 台所にいたママはリビングに顔を出し、星桜に挨拶を返す。 「おはよー星桜。……ってどうしたの?」 ママが見た星桜の顔はとても不機嫌そうだった。 「夢……見れなかった」 星桜の夢にパパが出てこなかった、ではなく夢を見ていないのだ。
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