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「これがその館みたいね」
館は星桜の想像を超えるほどに古びていた。
2階建ての木造の壁にはツルが巻き付いおり、傷んだ壁も見て分かる。古びた館というより不気味な館だ。
やっぱり明るいうちに来れば良かったと後悔する。徐々に暗くなる空を見て、より一層帰りたいという気持ちも強くなった。
「とりあえず、ちょっとだけ入ってみる?」
ママに言われ、星桜が嫌々館の鍵を取り出す。そして鍵穴に鍵を差し込もうとした時だった。
「ん?……あれ?」
「どうしたの?」
「鍵が合わないみたい……」
宅配便で届いた鍵と地図。地図がこの館を示しているのなら、鍵はこの館のに間違いないはず。それなら答えは1つだ。
「裏口の鍵かもしれないわね」
星桜の表情がみるみるうちに不機嫌になっていく。
裏口ということはこの館の奥に行くということ。
ちょっとだけのはずが、後戻りできないところまで行ってしまいそうな……そんな気がする。
「ママは怖くないの?」
怖がる星桜とは反対に、平気そうなママに聞く。
「星桜がいるから大丈夫よ」
そう言われ、
「そうだよね。1人じゃないもんね」
と、ママと一緒に館の裏口に行くことにした。
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