第4章   星と謎 古びた館

10/42
前へ
/114ページ
次へ
裏口を開けると、そこは細長い通路になっている。 中庭には外灯もあるので、中は意外と明るかった。 ママと星桜は通路を進む。すると、2つの扉が見えてきた。 今歩いてきた通路の左側、その部屋の扉には『巳の座』、奥の部屋の扉には『亥の座』と書かれているのが分かる。 「みのざ?……星桜、何の部屋か分かるの?」 「ううん、館の内装については全然分からない。だけど、袋が置いてあるはずなの」 パパが言っていた、部屋をより明るく照らすための知恵だ。 とりあえず、と2人は巳の座の扉を開け、中に入る。 「暗いわね……」 そう言って、ママは懐中電灯を取り出し辺りを照らす。念の為、持ってきていたものだ。 そもそも館に電気が通っていたとしてもつける訳にはいかない。 何年も出入りされていない館に電気がついたら怪しまれるからだ。 「あった!これだ」 その間に星桜は目的の物を見つける。 「ビニール袋?……どうするの?それ」 星桜は自分の懐中電灯を取り出し、先端にビニール袋を被せた。 「これでスイッチを押すと……、ほら!」 「すごい!明るい」 袋が懐中電灯の光を反射し、部屋全体を照らせるほど明るくなる。 ランタンに早変わり、ということだ。
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加