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裏口を開けると、そこは細長い通路になっている。
中庭には外灯もあるので、中は意外と明るかった。
ママと星桜は通路を進む。すると、2つの扉が見えてきた。
今歩いてきた通路の左側、その部屋の扉には『巳の座』、奥の部屋の扉には『亥の座』と書かれているのが分かる。
「みのざ?……星桜、何の部屋か分かるの?」
「ううん、館の内装については全然分からない。だけど、袋が置いてあるはずなの」
パパが言っていた、部屋をより明るく照らすための知恵だ。
とりあえず、と2人は巳の座の扉を開け、中に入る。
「暗いわね……」
そう言って、ママは懐中電灯を取り出し辺りを照らす。念の為、持ってきていたものだ。
そもそも館に電気が通っていたとしてもつける訳にはいかない。
何年も出入りされていない館に電気がついたら怪しまれるからだ。
「あった!これだ」
その間に星桜は目的の物を見つける。
「ビニール袋?……どうするの?それ」
星桜は自分の懐中電灯を取り出し、先端にビニール袋を被せた。
「これでスイッチを押すと……、ほら!」
「すごい!明るい」
袋が懐中電灯の光を反射し、部屋全体を照らせるほど明るくなる。
ランタンに早変わり、ということだ。
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