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これのおかげでこの部屋が何の部屋だか分かる。
「……脱衣所?」
脱いだ洋服を置いておくためのカゴがある。
2人は横開きのドアを開け、更に中に入った。
「うわぁ!広いね」
星桜が驚くのも無理はない。家のお風呂の何倍もの広さがあったからだ。
「この部屋、巳の座は大浴場ってことね」
星桜はランタンを持って巳の座の大浴場を歩きまわる。
ここに来た目的はパパの伝えたかったこと、そのための鍵を探すことだ。
ママも星桜の後を追い、辺りを照らしながら歩く。
入り口から時計回りに回る。ちょうど奥まで行ったところだ。
「何かあった?」
星桜が探し歩きながらママに聞く。
「んーー……、ここには無いのかしらね」
宝石が見つからなくても、言葉の書かれた紙が見つかるかもしれないと思っていた。
しかし1周してもそれらしきものは見つからなかった。
星桜は落ち込むことなく大浴場を出る。そして、改めて脱衣所を探した。
……結局、巳の座で見つけたものはビニール袋のみだった。
2人は巳の座を出て考える。この広い館に部屋はあと何部屋あるのか、宝石はあと何個あるのか。
結果、別れに繋がるとも知らずに……。
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