第4章   星と謎 古びた館

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これのおかげでこの部屋が何の部屋だか分かる。 「……脱衣所?」 脱いだ洋服を置いておくためのカゴがある。 2人は横開きのドアを開け、更に中に入った。 「うわぁ!広いね」 星桜が驚くのも無理はない。家のお風呂の何倍もの広さがあったからだ。 「この部屋、巳の座は大浴場ってことね」 星桜はランタンを持って巳の座の大浴場を歩きまわる。 ここに来た目的はパパの伝えたかったこと、そのための鍵を探すことだ。 ママも星桜の後を追い、辺りを照らしながら歩く。 入り口から時計回りに回る。ちょうど奥まで行ったところだ。 「何かあった?」 星桜が探し歩きながらママに聞く。 「んーー……、ここには無いのかしらね」 宝石が見つからなくても、言葉の書かれた紙が見つかるかもしれないと思っていた。 しかし1周してもそれらしきものは見つからなかった。 星桜は落ち込むことなく大浴場を出る。そして、改めて脱衣所を探した。 ……結局、巳の座で見つけたものはビニール袋のみだった。 2人は巳の座を出て考える。この広い館に部屋はあと何部屋あるのか、宝石はあと何個あるのか。 結果、別れに繋がるとも知らずに……。
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