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本館へ着くと、星桜がママの袖を引っ張った。
右方向を見ていた星桜が、この館の3部屋目であろう部屋の扉を見つけたからだ。
2人はその部屋へ向かう。扉には『子の座』、と書かれていた。
子の座に入り最初に思ったことは、これが『部屋』ということだった。
ベッドやタンス、クローゼット、この部屋は生活として使われていたんだと見て分かる。
だが、ある疑問を持ったママが口を開く。
「やっぱりおかしいわ……」
ママの発言に星桜が足を止め、ママの方へ向く。続けて、確認のため星桜に聞いた。
「この館は何年も出入りがされていなかったのよね?」
「うん、手作り新聞にそう書いてあった」
ママもその記事は信用できると思っている。だからこそおかしいのだ。
「出入りが無いのに……綺麗すぎない?」
改めて考えてみると、亥の座もそこまで埃が多いって訳ではなかった。
この子の座に関しては綺麗すぎる。
ベッドは敷布団のみで、上にビニールが被せてある。タンスの上には埃が溜まってはいたものの、やはり多くはなかった。
そこで、1つの疑問が頭に浮かんだ。
『周りに知られることなく、この館の中に出入りしていたんじゃないか』
この館には正面玄関と裏口の2箇所から入ることができる。もちろん、他にも入り口があるのかもしれないが……。
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