第4章   星と謎 古びた館

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本館へ着くと、星桜がママの袖を引っ張った。 右方向を見ていた星桜が、この館の3部屋目であろう部屋の扉を見つけたからだ。 2人はその部屋へ向かう。扉には『子の座』、と書かれていた。 子の座に入り最初に思ったことは、これが『部屋』ということだった。 ベッドやタンス、クローゼット、この部屋は生活として使われていたんだと見て分かる。 だが、ある疑問を持ったママが口を開く。 「やっぱりおかしいわ……」 ママの発言に星桜が足を止め、ママの方へ向く。続けて、確認のため星桜に聞いた。 「この館は何年も出入りがされていなかったのよね?」 「うん、手作り新聞にそう書いてあった」 ママもその記事は信用できると思っている。だからこそおかしいのだ。 「出入りが無いのに……綺麗すぎない?」 改めて考えてみると、亥の座もそこまで埃が多いって訳ではなかった。 この子の座に関しては綺麗すぎる。 ベッドは敷布団のみで、上にビニールが被せてある。タンスの上には埃が溜まってはいたものの、やはり多くはなかった。 そこで、1つの疑問が頭に浮かんだ。 『周りに知られることなく、この館の中に出入りしていたんじゃないか』 この館には正面玄関と裏口の2箇所から入ることができる。もちろん、他にも入り口があるのかもしれないが……。
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