第4章   星と謎 古びた館

18/42
前へ
/114ページ
次へ
何かしら入っていてもおかしくないと思っていたが、引き出しの中には何1つなかった。 「机の引き出しには何か入ってた?」 机をチラリと見た星桜がママに聞く。 「まだ開けてないわ。机の上の埃とか気になっちゃって」 星桜と違い、そういうところばっかり見てしまう。 同じ勢いで星桜がクローゼットに手を伸ばす。この際だから、とママも一緒に中を見ることにした。 「お、何か高級そうな服」 クローゼットを開けると1着だけ洋服が掛かっていた。クリーニングしてもらったばかりかのように、ビニールが被せてある。 「これ、燕尾服かもしれないわね」 星桜が頭にハテナを浮かべてママを見つめる。 「燕尾服っていうのは、執事が着ている洋服のことよ。背中側の裾が長いのも特徴ね」 「へー。でも何でこの洋服だけなんだろうね」 それはママも不思議に思ったことだ。 ママはクローゼットに掛かっている燕尾服を取り出し、机の上に置いた。 「やっぱりこの洋服、何かありそう?」 「そうね。ポケットの中だけでも調べてみましょ」 星桜が見守る中、ママはビニールを外さずに手を中に入れる。
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加