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何かしら入っていてもおかしくないと思っていたが、引き出しの中には何1つなかった。
「机の引き出しには何か入ってた?」
机をチラリと見た星桜がママに聞く。
「まだ開けてないわ。机の上の埃とか気になっちゃって」
星桜と違い、そういうところばっかり見てしまう。
同じ勢いで星桜がクローゼットに手を伸ばす。この際だから、とママも一緒に中を見ることにした。
「お、何か高級そうな服」
クローゼットを開けると1着だけ洋服が掛かっていた。クリーニングしてもらったばかりかのように、ビニールが被せてある。
「これ、燕尾服かもしれないわね」
星桜が頭にハテナを浮かべてママを見つめる。
「燕尾服っていうのは、執事が着ている洋服のことよ。背中側の裾が長いのも特徴ね」
「へー。でも何でこの洋服だけなんだろうね」
それはママも不思議に思ったことだ。
ママはクローゼットに掛かっている燕尾服を取り出し、机の上に置いた。
「やっぱりこの洋服、何かありそう?」
「そうね。ポケットの中だけでも調べてみましょ」
星桜が見守る中、ママはビニールを外さずに手を中に入れる。
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