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小さな○マークの中には、通気孔の右隣を①として、時計回りに数字が振られている。
そして、それぞれ
①→④
②→⑤
③→①
④→⑦
⑤→⑧
⑥→③
⑦→⑨
⑧→②
⑨→⑥
という風に、ふにゃふにゃした曲線で結ばれていた。恐らくこれが、通路の入口と出口を繋いだものだろう。
こうして見るとやっぱり、1つの通路に3本以上の線が引いてある所はない。
「これ、なんだ?」
俺は、それぞれの数字の外側に書いてある文字を指差した。
「何って……私は通路の名前だと思ったのですが」
平然とした顔でアトレクスが言った。足元を指差し、首を傾げる。
エクートが気にしていた、あのラクガキのような魔法文字だ。
「ここに来た時から書いてあるじゃないですか。あなたも魔導師なんですから、当然読めますよね?」
「読めねえよ!」
「…………そうだったんですか。でも、あなた方は……」
アトレクスは同意を求めて周りを見るが、俺を含めた全員が首を横に振ったのを見て、戸惑ったように手帳に視線を落とす。
「……すいません。人間は……魔法文字を読めるものだと思っていました」
「いや、言わなかった俺達が悪いんだって」
「そうだよ、魔王さんは悪くないよ」
しおしおとしぼんでいくアトレクスを、慌てたゲンとエクートがフォローした。
「それで、なんて書いてあるんだ?」
俺はその短い文字を、順を追って読んだ。
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