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「君のような?」
神父はわざとらしく難しい顔をして
口端を上げた。
「ええ、僕のような人間には――」
年寄りの手が
僕の黒髪を梳く。
「だからあの方が来る」
優しさと下心が入り混じる
まるで求愛のような手つきで。
「唇が乾いておる。蜂蜜でも塗っておきなさい」
深く皺の刻まれた手は
次に僕の唇を物欲しげになぞると――。
「連れて行け。地下室に戻しておくんだ」
吐き捨てるように
世話役の男たちに命じた。
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