第1章

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秋のうららに梢を鳴らすは枝葉達、 枝葉の別れに声を枯らすは秋の風。 私は路端から彼らを訪ね歩き、 椛は肩の縁を転げ落ちてゆく、 秋の並木道をしきりに追って、 枝葉の袋小路を忙しく回って。 秋光の途に頭を揺らすは淡桃の花、 淡桃の花を光に溶かすは秋日の掌。 私は視界に彼らを留めて置き、 涙は秋乾きの空に消えて行く、 秋桜の鮮やぐ一路に沿って、 泣いた風の通り道に舞って。 私は愛しい彼らにそっとつぶやく。 「逍遥を繰り返してるんだよ」 そして、愛しく彼らは絵に潜った。 彼らは絵の外の私にそっとつぶやく。 「逍遥を繰り返してるんだよ」 そして、絵の外に彼らは謎を残した。 逍遥の謎を巡って私は狂っていく、 詩の調子を狂わせ私は巡っていく。 秋の水波に笑みを零すは青年か、 秋の日射に背を向けるは少女かな。 犬の散歩道に白い小鳩がはばたいて、 鳩の広小路に犬吠が次第にやんでゆく。
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