終章 夜明け

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「今、船が入ってるから、マイナも付いてきてるんだって。後で、誰かが連れてきてくれるって言ってたわよ」  そう締めくくった加奈の言葉に、 「そうか。てことは、依頼終了だな」 と内藤が志免を振り返る。え? と志免は目をしばたいた。 「いやあ、なかなか、お前が居て楽しかったぜ」 と祐馬が肩を叩く。 「もうちょっと居るんなら、マイコップ持ってきてもらおうと思ってたのに」 「へ―?」 「元気でな、志免」 「さようなら、志免くん」 「ちょ、ちょっと待ってくださいよ~っ!」  そのとき、缶の紅茶を持った加奈が防波堤から戻ってきた。危なげな足取りでテトラポットの上を歩き、波打ち際まで行く。  つい誰もが言葉を止めて、そちらを見た。
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