第一章 迷い犬 迷い人

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「俺にもいろいろコネはあるからな。袴田が死んだあとで、あちこちから話を聞いた。  そのデータを狙って、二、三のシンジケートは動いているみたいだ」  それは、いつか母親に聞いたのと同じ話だった。 「そのデータをもともとの組織より先に手に入れて、取引に使うか、恩を売ろうってんだろ。  ちなみに、警察も上層部はそのネタ掴んでるみたいだが、本気にはしていない。  袴田眞人が、そんなネタを握りつぶすとは到底思えないからだろう。  ……どうした、加奈」 「無駄かも」 「え?」
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