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加奈は大事なことを忘れていた。
「他のシンジケートが捜しているのなら、この部屋はもう捜された後なのかもしれない」
真田は探るような目を加奈に向けて言った。
「お前の兄貴の嫁さんってことになってるあの女― 新倉里美か」
「よくご存知で」
加奈は肩を竦める。
「袴田さんから聞いたよ。あの女、香港シンジケートの幹部の娘なんだろ」
俺も調べたと真田は言う。
「里美の父親の組織と、今回のリストの組織、表向きは協力関係にあるみたいだけど、かなり危ういみたいだぜ」
うーんと加奈は唸る。
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