1226人が本棚に入れています
本棚に追加
/453ページ
埠頭近くの倉庫は今日も人気がなかった。この辺りの倉庫街は普段は使われていないようだから、当然といえば当然だが。
開かれた扉から、月光が加奈の影を長く、倉庫の床に伸ばしていた。
あの日、袴田眞人が倒れていた場所には、もう、白いチョークのあとも、血の跡もない。加奈はひとつ息を吐き、近くでそれを見下ろした。
「至近距離から一発―」
ふいに響いた声に、加奈は振り返る。
「誤射というには、ちょっと苦しかったかな」
竹内が立っていた。
最初のコメントを投稿しよう!