終章 夜明け

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 祐馬と志免が呟く。 「つくづく可愛いやつだな、内藤」 「ああいうとこが憎めないんですよね」  まあ、応援したところで、勝ち目はなさそうだが―  立ち上がった加奈は、私も買ってこようーっと、と行きかけて振り返る。 「ああ、そうそう。マイナの居所わかったわ」 「は?」 「あの日、眞人に付いて、袴田家に行ったじゃない。眞人、マイナは自力で帰ると思って、鎖に繋いでなかったみたいなの。  それで、たまたま帰ってきた袴田に付いて一緒に船に乗ってっちゃったみたいなの」 「はあ?」  あの密輸リストの中身、見たでしょう? と加奈は言う。 「確か、条約で禁止されてるペットとかの……え?」 「なんか、船で混ざっちゃってさー。わかんなくなっちゃってたみたいなの」 「袴田……。自分で拾った犬だろうが……」 「でも、なんか船で、他の人に可愛がられてたみたいでね」 と加奈は言った。  予想通りといえば、当初の予想通りの結果だった。  人に飼われて、可愛がられているから見つからない―
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