第一章 迷い犬 迷い人

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「だって、別に袴田はその組織に殺されたわけじゃないんだろう?」  窺うように内藤は言った。  そうだけど、という加奈は相変わらず歯切れが悪い。 「だったら、別にそんなとことは関わりを持ちたくない。  お前の身に被害が及ばないのが第一だ」  それから、と妙に据わった目で内藤は加奈を見据えた。 「なんだか今日は勝手に袴田家に入ったようだが、もうそんなことはしないように。  お前が情報を持ち出したと疑われると困る」  はーい、と加奈は小さく頷く。 「明日もお前は行かない方がいいだろう。  警察の連中に会いたくないだろうし。  志免でも連れてくよ。  マイナの件に関しては、こっちはただ働きなんだ。  いいだろう?」  志免の意見も聞かずに内藤はそう決めた。  
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