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 その瞬間に広がった味はトマトスープだった。  それもほどよい酸味と牛肉の脂が染み込んだ、それは僕の好物であるビーフストロガノフの味だった。 「おいしい」  美味しさが舌を伝わって脳へと駆け巡る。  それと同時に僕らは大学のサークル仲間だということを思い出す。  次は白いパンをちぎって口に入れた。  パンだと思っていたそれはカステラのような甘い食べ物に変わり、次第に生クリームの感触がしてイチゴの味が口に広がった。  イチゴのショートケーキだ。
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