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気付けば居たお城に、見覚えはない。
でも、ぼんやりと佇んでいるばかりじゃ何も変わらないと思い、ここに居る理由を考えながら歩いていた。
(ワタシ、普通にお裁縫してた気がするんだけどなー…)
未だに状況を呑み込めない。
でも、義兄さんがくれた裁ち鋏と道具が身近にあるだけで、少しほっとする。
ポーチの上から、存在を確かめるように撫でた、丁度その時。
「おや、君は…」
「っ!」
いきなり声が聞こえて、心臓が跳ねる。
慌てて手近な壁に寄り、少しだけ身を隠すようにしながら声のした方を見ると、髪も服も真っ黒な、綺麗な人が微笑んでいた。
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