第1章

3/6
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
 探偵を雇うなんてことは大げさすぎる。手っ取り早いのは、携帯電話を見ることだ。  しかし彼はそれを片時も手放さない。トイレのときも、お風呂に入るときも。おまけにロックまでかけてある。こうなるとますます怪しい。  ただ、ロックのほうはなんとか解除する方法を見つけた。幸い私と彼の携帯電話は同じ型だ。その場合私のSIMカードを彼の携帯に入れるだけで、私のパスワードでロックを解除できるらしい。あとは本体に残ったデータを見放題だ。  問題は入手方法だ。その名のごとく常に携帯している電話を、どうやって彼の手から奪おうか。まさか面と向かって渡せとも言えない。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!