甘いのくださいっ!坂下&香澄編

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リビングに来るとすっかり日も暮れて、窓の外には、めちゃくちゃ綺麗な夜景が広がっていた。 おお……。 坂下さん、こんなのいつも見てるんだね。こりゃ、女子はイチコロだわ。 てゆーか、坂下さんならここに連れて来る前に大抵の女子はイチコロかぁ。 窓際に立って夜景を暫く見ていると 「ありがとね。」 部屋着を着た坂下さんがやって来た。髪もちゃんと乾かしてあるようだ。 「いえ、大した事、してないですし。」 まぁ、ほっとけないでしょ、あの状態では。それに私ってば、昔からお節介好きだしね。 坂下さんは、私の隣に並んで立つと 「正直、心細かったんだ。だからーーー」 ーーー来てくれてホント嬉しかった そう言いながら、私の肩に手を回しそっと抱き寄せた。 えっ? なに?このシチュエーション? これじゃぁ、まるで二人して夜景を見つめる恋人同士じゃないのよ。 「どうしました?まだ具合い悪いとか?」 うん、これ、まだ熱あるな。出なきゃ、しないでしょ私にこんな事。 なのに…… 「いや、悪くない。寧ろーーー最高潮……」 そう言うと、私の頬に手を添え上を向かせるとゆっくりと坂下さんの顔が近づいてくる。 えぇぇぇえええええーーーーーーっ! キス?するの? 私と坂下さんが? んな訳無いでしょ。 だけど、そうこうしているうちにも坂下さんの整った顔がどんどん迫ってくる。 何となく、条件反射で目を閉じるとーーー 「ダメだ……やっぱ出来ない……風邪、移してしまう。」 もう少しで唇が触れそうだったけど直前で離れてしまった。 えっ? なんで私、今、ちょっと残念な気持ちになってるのよ。 おかしいでしょ? この人は諦めの悪い、胡桃一筋人間なんだし、今のだって……そう、この夜景だ。 こんな夜景が目の前にあって、しかも病み上がりで判断、鈍ってるから私にこんな事ーーー えっ? 今度はぎゅっと強く抱きしめられた……。 なんなのぉ?
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