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坂下さんの胸に顔をうずめながら、どうしたものかと考える。
「あのさ……。」
急に頭の方から声がした。
「な、なんですか?」
坂下さんの体から香るボディソープの優しい香りを嗅ぎながら、何とか答える。
「なんだろね?」
はぁ?なんだろねってどういうことよ?
「えっ、なんですか?全く分からないんですけど。言ってる意味が。」
「だよね?」
トクトクトクトクトクトク……
ん?
坂下さんの心音が凄く、響く……
「心臓の音がかなり早いですね。やはりまだ調子悪いようです。肺炎でも起こしかけてたら大変。救急で病院行きましょう。タクシー呼べばーーー」
「いや、そうじゃなくて……。」
そうじゃない?だったら、なんなの?
「いや、そのさ、正直、春川さんがこんなにも鈍い子だとは……。」
「鈍い……?」
「そっ、鈍い。何で俺の心臓が早く、動くのか、それは春川さんとこうしてるからでしょ。」
こうしてる?ああ?なるほど。って、全く分かんないんですけどっ。
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