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「っいってぇ?!春川さん、どうしたの?怒った?」
私から体を離すと頬を擦りながら坂下さんは私をじっと見た。
私が坂下さんの頬を思いっきりつねってしまったからだ。
「いえ、怒ってるとかでは……。ほんと、ごめんなさい。だけどやっぱりこんなのダメです。」
私は早口にそう言うと素早く手荷物を持って部屋を後にした。
エレベーターで最上階から一階に降りると
「申し訳ございません。タクシーが到着いたしますまで今、暫くこちらのソファにてお待ち頂けますでしょうか?」
と、このマンションのコンシェルジュが言う。
「タクシー?」
「はい、今、坂下様より連絡がございました。」
「私、一人で帰れますけど……。」
「いえ、そういう訳には……それに外はもう暗いですからお一人でお帰りになるには危ないかと…直ぐに参りますので。」
コンシェルジュのその笑顔とは対象的な威圧感に押されてゆっくりとエントランスにあるソファに腰を降ろす。
なんか…この状況、気まずい…。
「坂下様はーーー」
コンシェルジュの声にん?と反応を返すと
「坂下様はお優しい方でございます。」
「ええ…まぁ…。」
「実はわたくし……」
「はい?」
「坂下様に拾って頂きまして…今、ここにおります。」
「拾って?」
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