花見だんご

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う、うそ、でしょ……? い、い、い、今、キスした? したよね? したでしょ? この人と私、初対面だよ?しかも人前で……。 と、頭ではぐるぐると回るものの、口からは一言も発する事が出来ない……。 その間にも話はどんどん進みーーー 「これで、わかっただろ?俺とこいつは本当に付き合ってるんだ。これ以上、話すことはないっ。行くぞ。」 その人は私ががっちりと財布を握りしめていた手を そのまま掴むと、半ば引きずるように和菓子屋を後にした。 「おい、そこ座れよ」 と、近くの川沿いまでくると、乱暴にベンチに投げられた。 「きゃっ。いたたたた…何、するんですかっ!」 ベンチに思いっきり尻もちつく形になった。 「はあ?なにって、疲れただろうって思ったから、そこに座らせてやっただけだろーが。文句言うんじゃねぇよ。」 と言いながらその人もくっつくように私の隣に座ってきた。 ち、ち、近いって……。 てゆーか、 「はあ?って、それはこっちのセリフですよ。大体、なんなんですか?私、ただのお客ですよ?和菓子、買いにいっただけじゃない。なのに訳もわからずいきなり抱きしめられて……その上、その……キ、キ、………ス」 「なに?キスのこと言ってんの?まあ、あれだ、 あれは不可抗力。流れで仕方なくだよ。そんなキスの一つや二つどうって事ねえだろ、」 バシンっと一つ音が鳴り響く。 気がつくと言葉より手が先に出ていた。 「あっ、ご、ごめんなさい……。」 「いってぇなぁ。殴ることねぇだろ?」 「だって、キ、キスの一つや二つなんて……あなたにとってはそうかもしれないけど。私は…」 「お前、まさか初めてだったの?ただのキスだぞ? ええ?キスもしたことねぇの?それも舌もなんも入れてーーー」 「や、止めてくださいっ!その……舌も、とか……」 そうよ、初めてだよ。私にとってさっきのキスは初めてーーー。 つまり、ファーストキス。 だって年齢の22歳=彼氏いない歴の私だもん。なのにあんなのがファーストキスなんて。もっと、素敵なの想像するじゃん……。素敵なシチュエーションで二人の想いが通じあって……。 なのに、さっきのといったら…許せないっ。  
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