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「っで、それが遅刻の原因なの?」
会議室で必要な書類を並べながら私と同期の春川 香澄(はるかわ かすみ)が、疑いの眼差しを向けてくる。
「そ、そうだよ。香澄は昔っから疑い深いんだから。」
そう、昔からーーー
香澄とはどういった訳か、腐れ縁で小学校の頃からの付き合いだ。そしてそれは未だに続いていて。
「疑い深いってあんたいうけどさぁ、ただ、今日食べる和菓子をどれにしようか悩んでて気づけば休憩時間終ってました、なんてさぁ……誰が信じるのよ?」
「課長は信じてくれたよ?てゆーか、本当の事だし!」
「前田課長はダメよ。あの人、宇宙人に道聞かれて教えてたら遅刻しましたぁって言っても信じる人だよ。」
「マ、マジで?」
「ただの噂だろうけどね、みんな言ってるから。だけど、あんたは何か隠してる。大体、高校入試の時に風邪で熱だして受験できなかったのも、実際は前の日に特売の大福餅買い占めて、食べ過ぎてお腹壊しただけじゃない。それで私はまたあんたと同じ学校に行く羽目になったわけだけど。」
「そんな、古い話止めてよぉ。なんか勉強ばっかりしてたら甘いもの欲しくなったんだからしょうがないじゃん。」
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