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「女の子にモテるための要素は三つ。明るくて、さわやかで、お洒落であること」
「いや、僕は別にモテたいとかじゃなくて、めーちゃんと両想いになりたいだけなんだけど」
「他人から後ろ指さされるような男を彼氏にして、喜ぶ女の子がいるとでも?」
「え、僕そんなにひどいの?」
「暗くて、ねちっこくて、ダサい男は、いくらイケメンでもモテないんですからね」
「イケメン? わ~い、褒められた」
「……残念なイケメンは褒め言葉じゃありませんから。さぁ、まずはそのファッションから改善していきますよ。ショップにレッツゴーです!」
「ショップなんて初めてだから緊張するなぁ………とか思ってたけど、ここ、どうみてもユニクロだよね?」
「ブランドものなんて買うお金もなさそうですし、そこは妥協ってやつです」
「気遣われてるのか、馬鹿にされてるのか……」
「事実を述べたまでです。それに一番重要なのはセンスですよ、センス。……って言ってるそばからキャラTなんかチョイスしないでくださいっ!」
「えっ、でもこれ、カッコイイでしょ? なんてったってあの国民的特撮番組“卑怯戦隊うろたんだー”に惚れ込んだ超有名デザイナーがデザインした限定Tシャツだからね!」
「そういうマニアックなウンチクを得意げに語るところが残念だというんです。Tシャツなんか地味でいいんです。肝心なのはバランスですよ。ジャケットとかの重ね着で色を重ねて、アクセやマフラーなんかでワンポイントを強調する」
「よくわかりません」
「それじゃ、とりあえずこのマフラーなんかどうです?」
「あ、このマフラー、ウロタンダーブルーが付けてたやつと同じ――」
「別のにしましょう」
「いやいや、ちょっと待って、今の無し! うん、フツーにイイよね、フツーに。うん」
「はいはい、仕方ありませんね。じゃ、これで………って、なんなんですか、そのヒーローっぽい巻き方はッ!?」
「いや、かっこいいかなぁと思って」
「あのねぇ、こういうのは自然でさりげなくないと。不自然なヒーロー気取りなんて、カッコイイどころかイタイだけですよ?」
「じゃあ、どうやって巻けばいいの?」
「仕方ないですね。巻いてあげますから、ちゃんと覚えてくださいね」
「うん、頑張る」
「ここを、こうして、こう。……ほら、ちゃんと格好良くなった」
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