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「よっ。ここ座っていいか?」
「橘………」
幹事だから場を盛り上げたり皆の世話を忙しそうに焼いていた橘が、俺に気を使ってか隣に来てくれた。
「空いてるからどうぞ」というと、彼は手に持っていたビールを机に置く。
「亜樹危なかったなぁ~。アナコンダにロックオンされそうになって」
「何のことだ?」
「新庄のヤツだよ。あいつ毎回飲み会で男ひっかけて帰ってるんだよ。ここをコンパかなんかと勘違いしてんじゃねぇのか」
「へぇ…そうだったんだ…。ってか、何でアナコンダ?」
「一度絡みつかれると抜け出せねぇってことでついたあだ名らしいぞ」
「何だそれ、怖すぎっ!」
思わず噴き出した俺に、「だろ?」って彼も一緒に笑った。
じゃあ俺は途中で興味を失せてもらえて良かったって事か。
もしかしたら気落ちした俺を慰めるための橘なりのジョークなのかもしれないけど。
彼のおかげで十分立ち直れた。
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