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それから橘とは彼女が出来たけどすぐ振られたとか、近況報告をした。
ひとしきりの話題もなくなり、こいつが法学部に在籍していることを思い出す。
もしかしたらこいつならそう言った事例に詳しいかも……。
「なぁ…ちょっと相談っていうか…。意見が欲しいんだけどさ」
「なんだよ、改まって」
「実は……」
俺は最近見つけた通帳のことを橘に相談した。
毎月5万円程度だけど、それが数年に渡っていると総額にしたらかなりの額だ。
振込や引き出しはATMでされているから、明確な金銭の行方は分からない。
なんで俺名義の通帳でそんなことになっているのか。
橘は俺の話を聞きながらビールを飲んでいたけど、途中から神妙な顔つきになった。
「―――ってことがあってさ。お前はどう思う?」
「……一つ確認したいんだけど、その口座のキャッシュカードはあるのか?」
「いや…通帳とは一緒に保管されてなかったな……。もしかしたらどっか他の場所にあるのかもしれないけど……」
「もし…そのキャッシュカードがなかったなら、お前の口座を使って第三者と内密に金の受け渡しをしていた可能性がある」
橘はビールを机に置いて、両腕を組んで考え出した。
「何だよその言い方……。まるで犯罪みたいじゃないか」
「いや、気を悪くしないで聞いてほしいんだけど……」
そんな前ふりをされると益々気になるっての……。
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