③コウサツ

8/8
前へ
/126ページ
次へ
 カラオケ店のビルに背中がつくまで飛びのいても、それでもまだ下がろうと足は地面を無様に蹴る。  蹴って蹴って蹴って。  この場を立ち去りたいのに。  背後の建物がそれを邪魔をする。  走って逃げると言う行動さえ思いつかないほど混乱していた。 「おい、亜樹!どうした……」  俺の声を聞いて駆け付けた橘も、事態を把握して足を止めた。 「し……新庄!?」  そう。  その絞殺死体は後輩の新庄のものだった。
/126ページ

最初のコメントを投稿しよう!

60人が本棚に入れています
本棚に追加