②ドウソウカイ

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「O大学だったら引く手あまたでしょ?」  期待でキラキラと輝いている瞳で見つめられて、これ以上ごまかすのは無理だった。 「いや、実は俺浪人してるからまだ就職する年次じゃないんだ」 「あ…そっか、そうですよね。難しい大学だし1年ぐらい浪人してでも狙いますよね」 「いや……1年じゃなくて…2年……」 「……え―――?」  彼女テンションが一瞬で下がったのが分かる。  でもすぐに笑顔に戻った彼女は「へぇ~すごぉ~い。勉強頑張ったんですね~」とかなんとか適当なことを言って、「じゃあ楽しんで下さいね~」と俺の隣から立ち去った。  新庄が次に座った席は、井手っていう高校時代はヘルメットとあだ名されていたイケてなかった俺の同級生で……。  今は井手も高校時代よりも痩せたし、どこの床屋に行ったらあんな髪型になるんだってからかわれてた髪型も今時っぽくなってはいるものの、決してカッコいいって部類じゃないのに……。 「へぇ~井手先輩M広告会社に就職が決まってるんですか~?すごぉ~い!」  新庄の大げさなぐらい高めの声が俺の席まで聞こえてくる。  俺は井手に負けたのか……。ガクッ……。  女なんて所詮肩書に媚びる生き物なんだな……。  あぁそうだった……。  こういうのがあるから今まで不参加だったんだわ、俺。  同級生だけなら大体皆噂で知ってるのか、敢えて触れないでいてくれて気が楽だったけど。  いくら逃げ場所を求めていたからといって、同窓会なんかに参加したのは失敗だったか……。  気分転換しに来たのに、ますます気持ち落としてちゃ意味がねぇっての。
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