第7章

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「佐野っ。だいじょうぶだから、ちっと落ち着け」 「て、てっちゃん…」 「プハッ!超ビビってんじゃん!」 あまりにも狼狽える俺に、とうとう鉄火さんが桐上さんからジャンパーを取り、俺に着せてくれた。 温かかな毛布の中から出て、立ち上がり不安な様子を全面に出していれば、落ち着かせるように鉄火さんが頭を撫でてきた。 ハァ…本当に大丈夫なんだろうか…。 チラリと桐上さんを見やる。うん。凄いオーラだよな。 この人と二人っきりとか、俺、やっぱり絶対無理かも…。 「ち、因みに…増田さんは…」 「あー。啓一のヤロウ、今更酔い回りやがって、今向こうで寝こけてる」 「あー…そうなんですか…」 こんなに増田さんがいなくてガッカリしたのは初めてだ。 意気消沈して、突っ立っている俺など御構い無しに、鉄火さんはマフラーまで巻いてくれた。本当におんぶに抱っこ状態。鉄火ママ。 「行くぞ」 「…」 「おらっ!じゃっ気をつけて帰れよー。また来いよ」 最後まであからさまに嫌な顔をしつつも、鉄火さんに肩を押され送り出されれば、行かないわけにもいくまい。 先に出て行った桐上さんの後を追う形で、部屋から出る前に、もう一度鉄火さんを振り返り、不安いっぱいな顔で頭を下げた。 手を上げて、笑顔で見送られながら、俺は結局、桐上さんに送っていただくことになった。
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