第1章

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帰り道、高村くんと過ごした時のことを思い出し胸がキュンキュンしていた。 側に高村くんがいないのは寂しいけれど、一緒に過ごした記憶があるから平気だ。 彼との熱いキス、緑のジャージで二人で買い物したこと、ペアのマグカップがこそばゆかったこと、愛しそうに頬擦りされたこと、頭を撫でられたこと… 楽しくて嬉しくて胸キュンの記憶… それを思い出すだけで寂しさが紛れた。 高村くんも思い出してくれているのかな? 私と高村くんはどこか似ている。 高村くんも人を好きになることがわからず女の子と付き合っていた。私も同じようにあっちゃんと付き合った。 違うのは彼は特別目立つ容姿をもっていること。 顔で好きになったのではないけれど、彼といるとその容姿に見とれてしまう。 吊り合わないのではないかとチョッピリ気後れする時もあるけれど、その度に嬉しい言葉をくれる。 バックから可愛い白クマのキーホルダーを取り出してその先に付いたカギを掌に乗せて握りしめる。また特別が増えた。 使わなくてもそれを持っているだけで幸せな気持ちになれた。
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