第1章

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次の週、高村くんは住まいを事務所のマンションに移した。 と言っても荷物はほとんどそのままらしい。 教科書や必要な服だけ持っていったという。 新しい家で必要な家具や電化製品はマネージャーがリサイクルショップで揃えてくれていたから何も困らないという。 引っ越す前より家具が揃っていて快適だとメールが来た。 彼は引っ越してからマネージャー運転の事務所の車で通学している。 土曜日の朝、緑の格好でまたあのマンションに帰ってくる。 あれから毎週土曜日は二人の時間だ。 週末が待ち遠しいけど、それがあると思うと毎日頑張れる。 「夕貴は最近きれいになったね。何かあった?」 昼休み、何時ものように私のところにやって来た七海が開口一番言った。 髪型はいつもと同じセミロングの髪を一つに結んで前髪を垂らしている。服だって制服だし、いつもと同じスッピンだ。 もしかしたら高村くんとうまくいってるから? 好きな人に愛されている… それが私を変えているのかもしれない。
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