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先生という言葉を皮切りに思い出される前にいた場所での日々。
大量の薬を使われ、意識が奪われ感じるのは苦しさのみ。
体がまるで自分のものではないようなー
「大丈夫だよっ!」
不意に甘い香りが鼻をくすぐった。
気付けば僕はりりさんに抱き締められていた。
頬を伝う涙にいつの間にやら自分が泣いていたことを知った。
「大丈夫、此処ではあなたを傷付けるようなことは絶対しないわ」
そう言って笑うりりさんは言葉を続ける。
「先生っていうのも愛称でね、呼ばれてる本人はすっごく嫌そうな顔するのよ」
「じゃあ、どうして先生って呼ぶんですか・・?」
そう訊くとりりさんは悪戯を思い付いた子供のように無邪気に笑って言った。
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