公園での事

友人との待ち合わせに30分ほど早く到着し、時間潰しに公園内を歩いていた時の事。
「わわっ、待ってってば～っ!」
立ち止まり声のした方を見ると、一匹の犬と女の子が走ってきていた。
犬に引っ張られるように走る彼女の表情はとても楽しそうである。そんな彼女に思わず目が釘付けになる。
そのまま横を通り、走り去る。それに驚いた道端の鳩達が飛び立つ。
ふと足下に目をやると、オレンジ色のハンカチが落ちていた。先程の女の子のものだろうか。女の子が走り去った方を見るが、すでに姿は無い。
「どうしよう、これ…」
時計を見ると待ち合わせの時間が迫っていた。
「(このままにするのもなぁ。この公園に来たときにでも渡すか)」
そう考え、ハンカチを拾うと上着のポケットに入れ、待ち合わせ場所へと向かう。
「(またあの子に会えるといいな)」
数日後、彼女と意外な場所で再会することになるが、それはまた別の話…