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「すまない、一つ聞かせて欲しい。」
「命を救ってくれた恩人だ、オレに答えられる事なら何でも答えよう。」
ただし、何でも正直に答えるとは言っていないと語尾に隠れているのが容易に分かってしまう。
本当にこの人は自分勝手だ。
「実は人を探しているんだ。」
「へぇ、エルフが人探し………………って言う事はそいつは人間か。
それは珍しいな、名前とか背格好とか何か手掛かりになるものはあるのか?」
「うむ。」
次の瞬間エルフのお姉さんの口から出て来たのは予想の斜めを行く…………いや、概ね予想通りのものだった。
「その者の名前はレオンハルト・スターダストと言う。」
お姉さん、その探し人目の前にいます。
ミッションコンプリートです。
自分がエルフのお姉さんの探している人だと直に告げられたレオンさんは、
しかし流石と言うべきか動揺もせずまるで他人であるかのように振る舞う。
「へぇ、大層な名前だな。」
「大層なのは名前だけではない。
その御仁は歴史の裏で神の王や神代の怪物を討ち、幾度も世界を救った救世の徒なのだ。」
「はぇー、世界にはそんな凄い人もいるんだな。」
いや、貴方なんですけどね。
「うむ、私も婆様に断片的に聞かされただけだが………………話に聞くだけでも身が震えた。
私はその御仁に会わなければならない。
そしてその御仁は今この街に来ているようなのだ。
些細な事でも良い、何か知っていたら教えてくれないだろうか?」
余程そのレオンハルト・スターダストと言う人に重要な用事があるようで、
エルフのお姉さんはレオンさんに掴み掛かるように尋ねた。
豊満な胸を押し付けられたレオンさんはチラチラと下を盗み見つつ、答える。
「レオンハルト・スターダストか……………………」
「そうだ、特徴と言えば…………全身黒で統一した服装に背丈は丁度君と同じくらいで髪は黒く腰に2本の剣を提げているらしい。」
エルフのお姉さん、もしかして分かってて言ってたりする?
どう考えても目の前にいる人の特徴を言っているようにしか思えないんだけど。
そこまで特徴を完璧に挙げられたレオンさんはと言うと、後ろの首筋に冷や汗を伝わせながらも冷静に答えた。
「あー、そいつもしかしたら見たかも。」
「本当か!?
何処だ、何処でその御仁を見たのだ!?」
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