第零義 僕の物語

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思った事をそのまま言ってしまうと、正直僕の手には余る。 女の子を救う事だけを考えたとしても、最低限その組織を潰さなければならない。 根本的な解決を図るのならば、昏き者を滅ぼすしかない。 レオンさんが派遣してくれる協力者の力を借りれば、 組織を潰すだけならば…………いや、僕とシルビアちゃんというお荷物があったのでは難しいね。 レオンさんが《千盾》さんを救出して戻って来るまで、逃げつつ身を隠すのが無難かな。 何にせよ、残り24時間で解決しないと心臓が爆発するとかそういうタイムリミットが無いようで安心した。 流石に1日で神話の化け物の謎を解き明かして世界を救えとか、そんな無理ゲーを押し付けられるのは御免だからね。 コンコン、と。 今後の方針について悩んでいると、扉がノックされた。 ベットメイキングは不要と宿の人には伝えてあるので、 少し早いが多分タイミング的にレオンさんが寄越してくれた協力者だろう。 しかし一応警戒して、扉越しに尋ねる。 「はいはーい、どちら様ですか?」 『君の師匠に頼まれて来た者だ、開けてくれるかい?』 流石レオンさん、仕事が早い。 今日の夜くらいになるって言ってたのに、こんなに早く来てくれるなんて。 一刻も早く協力者を交えて話がしたいので、扉を開けて迎え入れた。 「どうも、サガ・ニーベルヘルンって言います。 まだ経験が浅く足手まといになるかもしれませんが、これから暫くの間よろし─────くたばれ。」 握手を求める自然な動きの中で、腕を真下に向けて袖から手の中に滑り込ませた単発の小銃を相手の腹目掛けてブッ放す。 ドン!!!! と、空気を叩くような音が鳴り響き最後の最後まで気付けなかった男の腹に穴が空いた。 「な、な───────────」 ジワリと、漏れ出た血が服を濡らしその生暖かさで漸く自分が撃たれたと気付く。 そして倒れ込むように掴み掛かろうとして来たが、風穴の空いた腹を蹴飛ばし廊下側に倒す。 「何で、だ…………オレは…………………………」 「レオンさんはこう言ったんだ。 今日の夜か明日の朝までには間に合わせるって。 レオンさんがこういう時は、何かトラブルが無い限り夜に来るもんなんだよ。 君は早すぎだね。 それに、僕程度の攻撃すら避けられないんじゃお話にならないよ。」
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