第零義 僕の物語

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「その基準だと、生ハムも駄目そうだな。 オレ的に香ばしく焼けたバゲットと塩辛い生ハムの組み合わせは黄金の方程式だと思うんだが?」 「ええ、生ハムとバゲットの組み合わせは天上天下唯我独尊を行く至高の逸品です。 ツナとバゲットの相性が悪いのは、独特の風味と必要以上の水分が含まれている事も大きいんです。 ツナを噛んだ時に出るあの水分は、いつまでも口の中をツナの味にしてしまいますからね。 ですから、例え塩味が強くても生ハムのように水分が少なく舌に乗っている間しか味を感じない物は良いんです。 寧ろそういう物が良いんです。」 「すると、お前が納得しそうな具の組み合わせは。 葉レタスとローストビーフ、生ハムとチコリー、ハムチーズとレタス、合挽き肉のパテにピクルス。 あと少しジャンクになるが、ベーコンエッグも良いかもな。」 「聞いてるだけで涎が出て来ますね。 他にも、サーモンと玉ねぎのマリネも良いかもしれません。」 「マリネ………酸味系か、確かにそれなら多少水分は多くてもバゲット自体の味を壊さないか。」 バゲットサンドは本当に良い物だ。 朝食昼食夕食どの時間帯に食べても良いし、手軽に持ち運び出来るからピクニック等にもオススメ。 更にサンドイッチよりも腹持ちは良いし、具も沢山入れられるので栄養満天。 余ってしまったバゲットはガーリックトーストにでもすれば尚美味しい。 正に完全食。 美味しい紅茶かコーヒーがあれば一日それで幸せだ。 「さぁレオンさん、この調子で具材の方も沢山買っていきましょう!! リリーさん達が結構良く食べてくれるので、腐る心配もありませんし。」 「あぁ悪い、言って無かったか。 リリー達なら聖国で開催される同盟諸国連合の連携強化なんちゃらの集まりで、 人々の希望である勇者として演説するために招かれて朝早くに出掛けたぞ。」 「何です、その同盟諸国連合連携強化なんちゃらって?」 「ほら、ついこの間帝国がメルフィス王国へ侵攻したじゃん?」 「レオンさんが死の一歩手前まで奮闘して漸く退けたあれですね。」 「色々あったけど、それよ。 あの闘いで、帝国は10万の兵を失った。 歴史的敗北だ。 普通ならそれで反戦運動とか起きるはずなんだが…………何をどう間違えたのか、今帝国全体が戦争ムードになってるんだよ。」
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