第零義 僕の物語

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星屑幸人。 今から12年前、当時10歳のレオンハルトに御伽話のような冒険談を聞かせ世界の広さを教えた冒険家。 レオンハルトにとって辿り着くべきゴールであり、他人を追い掛けるのではなく自分の道を歩むためのスタート地点。 「星屑幸人……………聞き覚えの無い名前ですね。 しかし、驚きました。 まさか貴方の夢が人に会って一言話すだけだったとは。 あ、いえ、別に馬鹿にしている訳ではありませんよ? ただ、貴方の伝を使えば人探し程度ならば訳は無いと………………………」 「まぁ…………な、放浪癖があって直ぐに行方を眩ますから面倒だけど居場所を特定する事くらいは難しくは"無かった"。 会いに行こうと思えば、多分いつでも会いに"行けた"。」 「何故、会いに行かなかったのですか? その人に会うのが夢だったのでしょう?」 「初めて居場所を掴んだ時は、まだ会いに行っても良いと思えるような冒険をしてなかった。 次は場所が遠過ぎて、その次はタイミングが悪くて。」 「中々叶わないのが夢ですからね、仕方ありません。 でも、今ならばもうその人と会う資格は有りますよね? 貴方は救世主と言われる程に、様々な冒険を重ね多くの人々を救って来たのですから。」 「有る………あぁ、有ると思う。 "あの時"のオレも、多分今の自分なら幸人さんの前に立って話しても良いと思ってた。 だから、会いに行った。」 「でも、会えなかった……………のですね。」 「いや、会えた。 そう、会えた。 12年の時を経て、漸く会えた。」 「え、でも貴方の夢は…………………………」 「会えた………でも、幸人さんには会えなかった。」 「???、話が見えて来ないのですが…………………」 「オレが会ったのは……………見付けたのは、幸人さんの死場所。 ………………1年前に神獣序列8位 《枯渇龍リュブリエ》以下7柱の神獣率いる魔王軍が侵攻して来たって話、何処まで聞いた?」 「その話ならば、お父さんが全部話してくれました。 何でもその侵攻を食い止めるために迎撃した賢者と英雄の混成軍が、半数以上死傷して撤退したと。 それから戦線を下げ、同盟諸国連合の総力を以て決戦に臨もうと陣を敷いて待ち構えていたが魔王軍は現れず。 それで偵察に向かわせたら、魔王軍は全滅していたと。」 「誰がそれをやったんだ?」
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