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今回の作戦にはシルビアちゃんも同行する。
一週間以上もこの街に滞在しているので流石に気付かれている可能性があり、
僕達がクラークの本拠地に侵入してシルビアちゃんのお父さんを締め上げている間に捕まえられたら本末転倒だ。
敵の庭で僕一人でシルビアちゃんを守れるとは思えないし。
「あの、大丈夫………………ですか?」
「心配いらないよ。
ギブソンさんは一流だからね、御荷物2人くらいなら連れて歩いても守りきってくれるはず。」
「そ、そうではなくて……………………」
恐らくシルビアちゃんは、僕がこれから大虐殺を行う事について重圧に圧し殺されていないか心配してくれているのだろう。
確かに悪人とは言えど、命は命だ。
相手を殺さなければ僕の命が脅かされるというのであれば躊躇いは無いが、
僕がやろうとしているのは一方的な虐殺だ。
気分が悪くならないはずがない。
「大丈夫、この街にも料理人とかホテルの従業員とか悪人じゃない人もいるからね。
可能な限り、大人しくしてくれる限り生かして政府の機関に引き渡すよ。」
そんな器用な事が出来るのかどうか分からないけど、と。
この一文を削って伝えると、シルビアちゃんは安心したように胸を撫で下ろした。
「僕達に出来ることは少ないけど、それでも頑張ろうねシルビアちゃん。
これで漸く君は普通の女の子になれるから。
後の事は分からないけど…………取り戻そう、君が本来いるべき世界を。」
「あの、私、ここまでしてもらってるのにサガさん達に何も…………………………」
「シルビアちゃん、ここは元気良く笑って返事する所だよ。
僕達は別に見返りを求めて君を助けたんじゃないんだ。
君を本来いるべき場所に戻してあげたい、そう思ったから僕達は君を助けるんだ。
だからさ、シルビアちゃん。
ちょっと………いや、大分遅くなったけど普通の女の子になろう。
昏き者とかそんな恐ろしいものとは無縁の、友達とお喋りしてお洒落して誰かと付き合って。
そんな、普通の女の子にさ。」
そうだ、なるべきだ。
生まれが不幸なだけで、シルビアちゃんには何の罪も責任も無いのだから。
「えっと、その──────はい!!!!」
返って来た答えは、僕が望んだものだった。
「符術【結界】」
ブロック状の結界を積み上げ、階段を作る。
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