第零義 僕の物語

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そう叫ぶも、ギブソンさんは後退するばかり。 戦闘態勢を崩せず、僕が部屋に入って行くのを止められない。 さて、ネタバレした時の反応が楽しみだ。 「レオンさん、こっちに来てたなら連絡して下さいよ。 そうすれば、僕達がわざわざ敵の本拠地に潜入するような危険な事はしなくて済んだのに。」 「───────な、何を言ってるんだお前は!!!? あれがスターダストの訳無いだろ!!!! あれは、あれは…………最早人間と呼べるような可愛い存在じゃねぇ!!!!」 あらあら、可哀想に。 遂に同業者からも人外扱いされちゃったよ。 仕事モードのレオンさんは別人格が乗り移ったみたいに冷酷でゾッとするけど、 流石にそれで人間辞めてるというのは言い過ぎだと思う。 レオンさんにとって、普通の人間である事が一種の矜持みたいなものだからね。 「レオンさん、その痛ダサいヘルメット取って見せてあげたらどうです? ギブソンさん混乱してますよ?」 痛ダサい。 その単語にレオンさんはピクッと反応し、背中を向けてゴソゴソとヘルメットを外して見せた。 ヘルメットの下から出て来たのは、何の予想外も無いレオンさん本人だった。 通気性の悪いヘルメットを被っていたせいで、顔や髪が蒸れている。 「………………………そんなにセンス悪いか、これ?」 どうやらレオンさんは、あのヘルメットをカッコ良いと思って被ってたらしい。 ショボーンと言う表現がピッタリの落ち込み具合である。 「直球ストレートに言えば、壊滅的ですね。 大体14歳男子のセンスですよ、それ。 まるで悪の組織の親玉が被ってるような代物じゃないですか。 "一つ目"の大幹部とかが素顔を隠すために被ってたなら、それはまぁ雰囲気出ますけどね。 何か凄そうだなー、って。 だけど、レオンさんが被ってても……………正直痛い方向に拗らせたコスプレ野郎としか思いませんね。 それで街中歩かないで下さいよ? 事案になりますからね、本当に。」 レオンさんの知られざる一面を見てしまったようだ。 まさかレオンさんがこんな物に憧れていたとは。 「………………………本当にスターダストなのか?」 疑うのも無理は無い。 互いに尊敬すべき同業者が、あんな趣味をしているのだから。 実は手元にあったのがこれだけだったのだと、必死に言い訳してくれた方がマシだ。
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